不思議な山県カプ。
相手人物の性格がよくわからないままかいてます。
史実のことも考えてません。
(西郷従道×山県)
体調を崩してしまった。
もともと、体は強い方ではない(鍛えてはいるのだが)、
ましてや、文化も気候も全く違
う異国の地、遅かれ早かれこうなるのは予測がついていた。
「山県さぁ」
西郷君が心配そうにこちらを覗き込んでくる。
私のせいで予定がズレたというのに、優しい子だと思う。
「余り、食べてないからですよ。」
どこか、まだ、薩摩訛りのある声。
「すまない、胃腸が弱くてな。体調管理がしっかり出来てないなんて、武人として失格だ
とは思うのだが。」
そう言うと、西郷君は寝台に腰掛け、汗ばんだ私の額を擦った。
太くて、無骨な指が好ましい。自分の指は、細くて、枯れ枝のようだから。
「山県さぁは一蔵どんに似ちょりもす。」
「大久保さんに?」
「あん人も、体調を崩すと謝るんです。何も悪いことをしてないのに。それに、」
「それに?」
言い淀む姿は歳相応でかわいらしい。
「声も、似てます。あと、細い体格とか。」
何となく、わかってしまった。西郷君は大久保さんのことが好きなのだと。
「すみません、忘れて下さい。」
ぽつりと落とされた言葉が切なく思えて、額から離れようとする手を掴んだ。
「山県さっ・・・」
指の間に舌を這わせると、声がひっくり返る。
これは、やはり同情だろうか。
叶うことの無い思いを抱えてる彼に、親近感を感じたのは確かだ。
「信吾・・・・」
俺を大久保さんの代わりにすればいい。
耳元で、そう呟いてやる。
西郷君の顔が泣き出しそうに歪んだ。
(西園寺×山県×西園寺)
きへいたいの統率者で叩き上げだというその武人は、いっつもムッツリと押し黙ったまま無表
情で。
私はいつかその顔を乱してみたいと思ったのだった。
陣中のお飾りだと、眉もしかめる者もいた。
露骨に媚びてくる者もいた。
山県はそのどちらでもない。淡々と、必要な事だけを話す。
二人っきりで話してみたい、と人払いをしたテントに連れ込んでみたが、山県が話すのは
作戦の事ばかりだった。
「何か必要な物が有ったら遠慮なくおっしゃって下さい。出来る限り都合しますので。」
深い意味などはなく、ただ、その無表情を乱してやりたかった。それだけ。
「せやな、ほんなら妓が欲しいわ。溜まってしゃあない。」
そう言ってやると、山県は困ったような表情を浮かべたので満足した。
「冗談や。」と言ってやろうとしたその時、山県が口を開いた。
「それなら私が口取りでもしましょうか。」
「なっ・・・」
慌てて山県の顔を見ると、表情は無いままたが、目が笑っている。
(からかわれた。)
「・・・・ほんならしてもらいまひょか。」
からかわれたまま引き下がるのを、プライドが許さない。
(ほれ、早く「出来ない」って言ってみい)
(今思えば、この時引き返せばよかったのだ。「山県さんでも冗談言うんやなぁ」って笑
い合えばよかったのだ。)
山県は一瞬呆けたようだが、
「じゃあ、そこらへんに座って下さい。」
と、私の足の間にうずくまっった。
「これでええ?」
(予想外の展開だ)
「失礼させていただきます。」
山県は私のズボンを脱がしにかかる。
テントの中に衣擦れの音だけがやけにはっきり響く。
(こいつ、ほんまにくわえる気やろか・・・だとしたら、うちが止めへん限り、この行為
は終わらへん訳で。
せやけど、今更「待った」言うのは悔しいわけで。)
下穿きも剥ぎ取られ、生暖かい息がソコにかかる。
(もうどうにでもなれ)
二人は意地の張り合いで引くに引けない状態になって共倒れだ。
山県さんは慌てる公望をみて、勝ったような気になってますが、12歳も年下相手にムキ
になるところが既に負けていることに気付いて欲しい。