嫌な予感がした。




その日俺は日直で、教室に残って日誌を書いていた。
きょうこは隣で本を読んでいる。

「ちょっとこれ、先生に出してくるから。」
そう声を掛けると、きょうこは黙って頷いた。


(職員室まで連れて行けばよかった)

教室に戻るときょうこの姿はなかった。



校舎裏、体育館倉庫、ゴミ捨て場、居ない。

(案外、ただトイレに行っただけかも知れない。)

トイレ。その言葉が妙にひっかかる。




きょうこは特別教室棟のほとんど使われていないトイレにいた。


ずぶ濡れだった。

「ジャージに着替えて帰ろう」

そう言って手を握ると、きょうこは力無く笑って流しを見た。

濡れたジャージが置いてあった。




空き教室に荷物を持ち込んで、カーテンを全て閉める。

「濡れたせいで脱げない」と訴えられたブラウスを引っ張って剥ぎ取り、バケツの上で搾 る。

「ブラも取れ」
出来るだけ平淡な声でそう言ってやると、きょうこは慌てたようにフックに手をかけた が、指先が震えてうまくいかなかった。

無理もない。
衣替えが済んだとはいってもまだ六月。気温は低い。

仕方がないので俺がフックを外してやる。
フロントフックだったために、白い未発達な乳房が俺の目の前に零れた。

パンツ一枚のきょうこを、できるだけ意識しないようにタオルで拭き、
鞄の中から、こう ゆう時のために持ち歩いてる新しい下着を出して渡してやる。 (男子中学生の鞄に女物の下着が入っているのは全くもっておかしいが、
前にきょうこの 鞄に入っていた時には無くなったり、
黒板に張り出されたりしたのだからしょうがな い。)


「今日使ったから汗くさいかもしんねぇけど。」
俺のジャージを着せてやると、きょうこは黙って首を振った。






土手の上を並んで歩く。

濡れた制服とジャージは重い。

きょうこは地面を見つめたまま、「ごめん、時山。」と呟いた。

「きょうこは何も悪くないよ。」
そう言って抱き寄せると、一瞬身体が強張るが、すぐに力が抜けてされるがままになる。

きょうこが、俺にだけ、接触を許しとくれるのがとてもうれしい。
ずっとこの状態が変わらなければいいと思う。我ながら低い志だが。





中学生時ガタ。

時山さんは見事な我慢強さを見せていますが、けして不能ではありません。
精神力が強い のと、きょうこへの愛の力(痛)です。

ってゆうか、どんだけ山県可哀相なのって話ですが、
ガタは惨めであればあるほど光ると 思っているので、やめない。