・食満が先天的に女の子です。
・卒業後捏造描写があります。
・死にネタもあります。
・とてつもなく暗いです。
は組の食満留三郎は実は女で、頼めば誰にでもやらせてくれるらしい。そんな噂が流れたのは、潮江文次郎が五年に上がったばかりの頃だった。馬鹿馬鹿しい、と一笑に付した筈のそれが妙に頭に残ったのは、無意識のうちに食満の発する色香を感じ取っていたのかもしれない。
食満が本当に女だということ潮江が知ったのは、それを耳に入れてから一週間も経たないうちの事だ。
途中までは何時もの喧嘩だった。ただ、胸元を引き掴んで突き飛ばした拍子に、着物が乱れた。合わせが大きく開き、中に着た黒い肌着の肩がずり落ちて、きつく巻かれた晒布が覗いた時、潮江の心臓はうるさい程にどくどくと鳴った。まさか、と思うと同時に血が上り、ぐらぐらと頭の中身を揺さ振られたような酩酊感を感じた。
衝動のままに肌着を裂き、懐から取り出した苦無で胸部の中心をなぞるように晒布を切った。ぼろりと零れたささやかな乳房が自棄に白かったのを覚えている。秘密を暴かれたのを恐れるように、潮江の腕に添えられた食満の指が震えていた。
手酷く裏切られたような、失望と怒りが頭を支配した。食満の持つ女の部分が汚らしいように思えたのは噂を思い出したからか、それとも自分の中に有る欲望を食満の身体に投影したからか。頭には血が上っているのに心が冷えて行くのがおかしかった。
「…文次郎」
く、と潮江が喉の奥で笑ったのに、食満は戸惑ったような小さな声を出した。その、普通の女のようなか細い声が、決定打だったのだと思う。
「やらせろよ」
発した潮江自身ですらぎょっとする程、冷たい声が出た。俯いた食満が拍子抜けする程従順に袴を解いたのは、潮江が手持ちぶさたに弄んでいた苦無に怯えたのか、それとも他に理由があったのか、少なくとも噂にあったように誰にでも脚を開くからという訳では無いのは確かである。食満は処女だった。
それきりのはずだった。その後も潮江は食満が女だという事実を知らないように振る舞ったし、食満もあの日の事には全く触れようとはしなかった。二人の間であの事は無かったものとして扱われた。それは一度きりの厭わしい、それでいて甘美な秘事として、二度目など有るはずも無かったのだ。無かったはずだった。
六年になって大分経った頃の事だ。最高学年に回ってくるには酷く単純なお使いが二人に課せられた。喧嘩ばかりしている二人に対する教師達の牽制の意味もあったのだろう。
お使い自体はすぐに済んだ。もともと六年生が二人も揃って行くようなものではない。しかし帰り道に雨が降った。時間は多分にあったので、どちらともなく山小屋に入った。食満は持っていた火種で囲炉裏に火を入れ、潮江は服を脱いだ。濡れた肩が触れ合うのが不快で食満を見遣れば、元結が解かれて濡れた髪が白い肌にはりついている。道中激しく言い合いをしていたのが嘘のように沈黙が続いて、ぎこちない空気に耐え兼ねた潮江が押し倒したのに食満は抵抗しなかった。
服さえ脱がせてしまえば、食満はまるきり女であった。日頃ぎゃんぎゃんとがなり立て、互角に近い喧嘩をするのが嘘のように従順で、手弱女を無理に手籠めにしているような気になる。
破瓜を担った潮江の身体が、食満の中で一種の恐怖として刷り込まれているのかも知れない。寒さか畏怖か、震える指で食満は晒布を解いた。
一年見ないうちに、食満の身体は酷く女らしくなっていた。胸はさらしに潰され続けているというのに不思議と美しい形をしており、ちょうど潮江の手の中にすっぽり納まる。鍛えられた腹部に柔らかさは無かったが、尻はまろやかな線を描いている。痩せているだけの貧相だった身体が何時の間にか変わっていたのは、羽化する蝶が人知れず羽広げる様子を潮江に連想させた。
ふう、ふう、と苦しそうに息を吐いて、時折くぐもった呻きを漏らすだけで、食満は声を上げなかった。狭い山小屋の中には二人分の呼吸と、濡れた肉が擦れる音だけが満ちている。強引に抜き差しすれば、ぴくぴくと太腿が震えた。身体は酷く敏感で、受け入れる事に悦びを見い出している。ぐっしょりと濡れた女の部分に他の男の影を見て、隠していた宝物を横取りされたような、酷く子供っぽい嫉妬を潮江は覚えた。
ぱちぱちと囲炉裏の火がはぜて、ぬらぬらと舐めるように食満の身体を照らしている。
「もんじろ…、外に」
食満の白い指先が、潮江の腹筋をなぞって下生えに伸びた。つつ、と付け根を撫でられ、くそっ、と悪態を付いて潮江は引き抜いた。零れた子種が食満の内腿白く汚した。
外の雨は上がったようだが、小屋の中の空気は酷く籠もっていて、じとじとと水気が肌に張り付くような不快感があった。む、と人の臭いが鼻につき潮江は眉を潜めた。身を起こす食満の睫毛には水滴が溜まっていて、ぱちりとまばたくと零れる。囲炉裏の火は何時の間弱くなり、ぷすぷすと間抜けな音を立てて燻っていた。
「中で出したって、くの一は秘薬とか何とかで妊娠しねぇようにしてあるんだろ」
生乾きの着物に顔をしかめつつ潮江は袖を通した。雨に濡れた服とこれまた汗に濡れた肌が触れる感触は不快感を誘う。同じく嫌そうに服を着る食満は潮江を横目で見た。
「秘薬っていっても完璧じゃない。お前の子なぞ万に一つでも孕みたく無いんでな」
さっきまでの従順さは何処かに消え、普段見せる冷淡な態度で食満が潮江に答える。じゃあ誰の子なら良いんだ、という言葉を潮江は飲み込んだ。代わりに、可愛くねぇ女と呟いてみたが、潮江はもう食満を女として見ていない。
おかしなことだが潮江には、先程まで散々抱いたはずの女が服を着た途端に憎たらしい同級の男にしか見えなくなる。男姿になった食満を見た潮江は、女としての食満を忘れた。
は組の食満が妊娠を理由に卒業試験を辞退するらしい。という噂を聞いた時も、潮江は自分が父親である可能性というのは全く思いつかなかった。もっとも、もう少し考える時間が有ればその可能性に気付く事も出来たかも知れない。しかしすぐに父親は食満の同室の善法寺伊作であるという噂が追って流れ、さらに善法寺本人から一緒に辞めて町医者になる旨を告げられたので、考えがそこにまでたどり着く事は無かった。
「医者はいいが、当てはあるのか」
と聞いたのは立花仙蔵である。それに善法寺はふわりと笑って答えた。善法寺は優男で、食満なぞよりよっぽど女のような顔をしていて、笑った拍子に白い歯が零れて見える様は花でも咲いたようである。
「うん、知り合いのお医者さんの所に居候させて貰うんだよ。近くに腕の良い産婆さんも居るから安心なんだ。いずれは独立するつもりだけどね」
「伊作は意外に甲斐性があるなぁ」
七松小平太が失礼な事を言い、中在家長次はどことなく嬉しそうに、学園を辞めてしまうのは残念だが新しい命の誕生は喜ばしい。と、ぼそぼそ言っている。
善法寺の横に座っている食満は何処かぼんやりとしているように見えた。深草色の忍装束の肩の上に羽織を掛けていて、時折まだ目立たぬ腹を撫でている。
お前の子なぞ孕みたく無いと言った食満を思い出して、潮江は自嘲的に口の端を持ち上げた。伊作の子供なら孕む訳か、女のような顔で腹を撫でやがって。食満から匂う女に吐き気がした。周りの会話はまるで耳に入って来ず、潮江はずっと食満だけを見据えていた。視線に気付いているで有ろう食満は、一度も潮江を見なかった。
善法寺と食満が去っても、学園は何一つ変わらない。保健委員と用具委員は委員長の不在にごたついているようであったが、それぞれの顧問がどうにかまとめているようだった。どちらにしろ引継ぎの始まる時期ではあったのでそんなに問題も無いのだろう。一方六年生は卒業試験の準備に忙しく、潮江もその例に漏れなかった。
卒業試験の結果は就職に響く。潮江は高い水準を持つ忍しか採らない事で有名な城を狙っていたので、力の入れようは普通ではない。何時も涼しい顔をして、努力を他人に見せる事を嫌う立花ですら鬼気迫るものがある。この時期の六年生には、下級生が近寄りがたいような雰囲気があった。
そんな中でも初めのうちは、ふと食満と善法寺の事を思い出す時も有った。もしあの二人がここに居れば、試験だと言うのにへらへらと委員会に顔を出したりするのだろう等と考えて、潮江はむ、と下唇を突き出した。食満は喧嘩をすれば潮江と同等に遣り合うというのに、授業や試験はとんと奮わなかった。いつも飄々とした態度で、必死になると言うことが殆ど無い。そんな、そこそこの結果で満足する向上心の無さが潮江には許せなかった。
そうした食満の腹立たしい所ばかりを思い出す癖に、実際にその像を結ぼうとすると、破瓜の痛みに震える様子や白い乳房、囲炉裏の火に照らされた濡れた身体が浮かぶ。他人の物になった途端に惜しくなったのだろうか。潮江は食満に恋情なんぞを抱いた事は決して無かったが、あれを女にしたのは自分だ、という独占欲に近いものは有ったのかも知れない。しかし一月もしないうちに、忙しさから潮江は食満を忘れた。
潮江は二十二になった。堂々たる体躯からは十五の頃の少年らしい頼りなさの面影は見て取れなく、腕の筋肉などは盛り上がっておりいかにも力強い。戦国の世の第一線を行く忍の身体だった。
しかし立派になった体躯とは対称的に、顔は十五からさして変わっては居ない。あの頃十五には見えないと揶揄された顔が、今は身体と不釣り合いに幼げに見えるのは皮肉な話である。ぎょろついた大きな目の下をびっしりと染めた濃い隈は、最早どんなに寝ても消える事は無い。
潮江は今、山の中を歩いている。生い茂った草木から漂う草いきれが、む、と鼻から口から入り込み、呼吸を侵す。息苦しさにわなないた唇が青白いのは、左腕を肩から二の腕に懸けてばっくりと開いた刀傷のせいである。幸いな事に腱には達していないらしく、力を入れれば指先が動く。が、途中血の臭いを消すのに水に入った為かじくじくとした熱が傷口から全身に廻っているようだった。
少し歩けば仕えている城の中継所が有る。そこで保護を求めれば何とかなるだろう。頭では分かっていても、身体が動かない。木の幹に背を付ければ、そのままずるずると崩れ落ちてしまう。少し寝よう、と思った直後に意識が途絶えたのは、決して眠りに落ちた訳ではない、気絶したのだった。
しゅんしゅんと鉄瓶から湯気が吹き出る音がした。背には乾いた布の感触があり、自分が夜具に寝かされているのを潮江は感じた。
ぼんやりする意識を叱咤して、薄らと瞼を持ち上げれば目の前に延ばされた手が有る。反射的に掴んで押さえ込もうとしたが、逆に手を捻られ床に押し付けられた。つ、と冷や汗が背中を伝う。自分をねじ伏せた相手の顔は逆光で見えないが、く、と笑った気配がして潮江は身構えた。
「危ないなあ、文次郎。武器を取り上げて置いて正解だった。助けて斬り付けられたらたまらないからね」
ここ何年か聞く事の無かった、酷く懐かしい名前で呼ばれ潮江は目を見張った。
「伊作…」
「久しぶり。あんなところで倒れてるからびっくりしたよ」
にこり、と笑った顔はあの頃より少し大人びてはいたが、間違いなく善法寺であった。
あの頃と違うのは、肩下辺りで無造作に切られた髪を襟足で結わえていて、眼鏡を掛けているくらいである。ずり落ちた眼鏡を指で押し上げる動作が板に付いている辺りから、かけるようになって長いのだろう。
「相変わらず忍者してるみたいだけど、僕は血の臭いを消すのに水に入るって教えだけは、在学中から納得いかなかったんだ。だってどんな雑菌がいるか分かったもんじゃないでしょ」
善法寺は潮江の左腕を撫でて息を吐いた。すべらかな手は善法寺が忍術から離れて長いのを、潮江に伝えてくる。
「お前はすっかり医者をやってるんだな」
化膿止めだ、と差し出された煎薬を受け取りながら潮江が言えば、善法寺はぱち、と瞬きをして、まあねと言う。
「これでもここいらで評判の医者なんだ」
「ああ、お前は良い医者になると思った」
「止してよ。そんな真顔で言われたら茶化せない。」
この世の物とは思えない程苦い煎薬を無理矢理飲み込んで、潮江は口を開いた。善法寺が医者になったきっかけを思い出したのである。
「そういやあいつはどうしてる。お前の嫁さんは」
ちょっとした沈黙の後、善法寺は何かを言おうとした。が、それは小さな足音に遮られた。
たたっと軽い音と共に、善法寺の陰に隠れるようにして小さな顔が覗く。
「こら、この部屋には勝手に入るなって言ってるだろう」
自分の肩に手を置いた少女に、善法寺は眉をひそめた。
「ととさま、その人元気になったの」
「ああ、大丈夫だから向こうに行っておいで」
はあい、と鈴の鳴るような声で返事をした少女は、潮江に向かってぺこりとお辞儀をした。愛らしい動作であったが、潮江はそれに気を配る余裕は無かった。潮江は少女を凝視した。
「あの時の子か」
「うん。もう六つになるよ」
「なあ、伊作。もしかしてあの子供」
少女の顔は、食満に似ていた。幼いながらもすっと通った鼻筋に薄い唇、美しい眉がかむろに切り揃えられた前髪から覗いている。ただ、目だけが異質だった。ぱちりと開かれた大きな目だけが食満に似ていない。善法寺のものとも違うそれは、潮江が水を覗き込んだ時に見える、自分の目に酷似していた。
少女が出ていった戸を眺めて、善法寺はぽつりと話し出した。
「留は亡くなったよ。流行病でね、あっという間で何も出来なかった。僕は医者なのにね」
善法寺の手が敷布を掴むと、細い手の甲に筋が浮かんだのが見えた。潮江の命を奪うだけのものとは違う、命を救う優しい手が、きつく握り締められている光景は痛々しかった。
「文次郎、僕はね、産まれた子が君の子でも恨んじゃいなかった。ただ、その事を気に病んだ留が家を出ていこうとした時、その時ばかりは君が憎かった。殺してやりたいと思ったよ。僕は留が隣で笑って居てくれるなら子供の父親が誰だって関係無かったのに。その時から僕は、いつか留が出ていくんじゃないか、君の影が留を連れて行ってしまうんじゃないかって怯え続けた」
逸らされた善法寺の顔は、潮江からは見えない。見えるのは、癖のある多い髪が、首筋の上でふわりと揺れている様だけだ。
善法寺は学園に居た頃、その髪に色々なものを引っ掛けた。木の枝が絡んで取れなくなった事も有れば、毛虫が着いていた事も有る。それを取ってやるのは食満の役目であった。食満の傷だらけの、女にしては大きな手が、あの時ばかりは母性を感じさせる柔らかい動きをしていたのを潮江は思い出した。善法寺はその手を失っのだ。
「文次郎、あの子は僕の子だ。ごめん、動けるようになったら出ていって」
善法寺の声は震えていた。
寝間着を脱いで善法寺が置いて行った着物に着替える。彼の物らしいそれは丈が少し足りないが、贅沢は言ってられない。綺麗に並べて有った忍具を決まった場所に仕舞う。潮江は全て一定の法則の元にものを身に付ける癖が着いていて、それは暗器から豆菓子に至まで適応される。いつも通りの場所に仕舞おうとした金を、潮江は少し迷って金入れごと全部布団の上に置いた。
濡れ縁から庭に出れば、月が美しく出ていた。満月では無いが随分と明るい。忍をやるには向かないが、追手が居る訳でも無いのでいいだろう。それにしても見事なものだと、目を細めて見上げると、声を掛けられた。
「文次郎待って」
下ろし髪に白っぽい寝間着を着た善法寺は暗闇の中にぼうと浮かび上がっている。無表情に潮江の金入れを持った右手を差し出している様は、幽霊のように見え無くも無い。
「こんな物貰う理由がない」
「治療費だ」
「多すぎる」
「忙しくて使う暇もねえんだよ。お前の娘に着物でも買え」
善法寺はじっと潮江を見た。そして少し表情を崩して溜息をついた。それは、怪我をした潮江が医務室に行った時によく見せた表情である。
「ごめん、さっきは酷い事言った。文次郎は悪く無いのに。僕の勝手な嫉妬だ」
「いや」
「君を恨んだ事も有ったけど、それ以上に君は僕の大切な友達でも有るんだ。信じてくれないかも知れないけど。傷が治るまで居てくれ文次郎」
自分の着物の端を掴む善法寺の手は弱々しく、微かに震えている。潮江はそれを見て、胸が痛んだ。散々苦しんだであろう善法寺を、責める権利が自分に有ろうものか。
「俺は、伊作に助けられなきゃどうなるか分かったもんじゃなかった。助かった」
潮江が手を取ると、善法寺は顔を上げた。ぐ、と力を込めて握ってやれば、善法寺は泣きそうな顔で、それでも笑ってありがとうと言った。お礼を言うべきなのは自分だ、と潮江は思う。
「でももう行くぞ。最初から動けるようになったら出ていくつもりだった」
善法寺は離された手を所在無さげに動かしている。くり、と動いた黒目がちな瞳に月が映り込んでいた。
「そっか。じゃあさ、これ持って行ってよ」
善法寺はおもむろに背に回した手で帯にはさんだ何かを取り出し、潮江に握らせた。潮江は渡されたものをまじまじと見る。鉄の棒と分胴が鎖によって繋ぎ合わされたそれは、鉄双節棍であった。
「これ、留三郎のか」
「形見分けって訳でも無いけど、僕持ってても使わないしね。邪魔じゃなければ」
潮江は、大切なものなんじゃないのか、と問い掛けようとして止めた。その代わりに鉄双節棍を丁寧に帯に腰に差し込んだ。
「いや、有り難く貰ってく」
「留は文次郎が好きだったよ」
さ、と風が吹いて善法寺の寝間着の裾が乱れた。月明かりの下で男にしては長い睫毛が震えた。
「初恋は文次郎だったって。僕だって初恋は留じゃなかったけど、やっぱりちょっと君が羨ましかった」
そう言って善法寺は笑った。
「死なないでね、文次郎」
山道を駆ける。手当てを受け、休息を取ったとはいえ、怪我した身体には多少きつかったらしく息が切れた。立ち止まって竹筒から水を飲んだ。腰に触れると、金属の硬い感触がある。なんとなく取出して眺めた。
「初恋だと。だからお前、あの時抵抗しなかったのかよ、ばかたれが」
冷たい鉄の塊はもちろん答えてはくれない。
冷たい鉄双節棍の重さに、あいつは女の癖にこんな重いものを持ち歩いていたのかと思えば、初めて涙が出た。
(言い訳↓)
キナコさんからのリクエストで、『食満受けで妊娠』でした。
リク有難う御座いました。キナコさんのみお持ち帰り下さい〜(文字書き様に、下手くそな文を送り付けるKYっぷり)
予想外に暗い話になってしまってがっかりです。
半分位書いたところで、求められていたのはもっと馬鹿なノリだったのでは、と気付きましたが手遅れでした…
とりあえず、潮江の精子は避妊対策+外出しをものともしない命中率ですよね。そんだけ。